第3回:マーケティングとは!?

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マーケティングとは、ということを考えていきますが、皆さんマーケティングの視点ということで、こういう話を聞いたことがあるでしょうか。とても有名な話で、セオドア・レビットという人が言っていることですが、

 

4分の1インチのドリルが100万個売れた、と考えるのではなくて、人は4分の1インチの穴を買っているのだ

 

と。ドリルではなく穴を買っているのだ、と言っているのですね。

 

これだけだとなんのことだかさっぱりわからないと思いますけれど、黒板を見てください。左側が売り込み発想と書いてありますが、どちらかと言うと営業発想です。右側がマーケティング発想。左側(営業発想)は顧客が欲しがりそうな製品を売り込む。だからこそ何インチのドリルがいいのか、そのドリルの重さや色はどうすべきかを考えますマーケティング発想とは顧客が何をしたいと思って、というところがポイントで製品を欲しがっているかを知ると。ということは、お客さんはドリルを使って何をしたいか、ということです。

 

要は穴をあけたいと。穴をあけたいからドリルを買っているのですね。穴をあけたい時に必ずしもドリルを買わないかもしれないですよね?お客さんのニーズの捉え方として、ドリルが欲しいのか穴をあけたいのか、という発想が違います。マーケティング発想は、お客さんは穴をあけたいというニーズがある、と考えます。そうすると何が良いのかは、今後おいおいやっていきます。

 

ここから先は少しお勉強チックです。マーケティングの講義ですから、一応マーケティングの定義というものをさらっと触れておきます。ちょっと難しいですけどね。ただ単に読んでも何のことやらさっぱりわからないと思いますけれど。

 

マーケティングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度、そしてプロセスである

 

と。全く持ってお経みたいで何のことやらさっぱりだと思いますが、一応こういう定義がされています。日本のマーケティング協会の定義では、

 

マーケティングとは、企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動である

 

と。これもちょっとよくわかりませんね。これでマーケティングわかりました、と言ったらすごいと思います。こういうように定義されています。

 

それからコトラーという人がいます。聞いたことありますか?この講義のテキストに必ずしも沿ってやるわけではないですが、このコトラーという人のマーケティングマネジメントという本が、マーケティングの世界では標準的なものなので紹介をしています。コトラーはマーケティングの父とまで呼ばれる人ですが、その人が言っているのが、

 

マーケティングとは、製品と価値を生み出して他者と交換することによって、個人や団体が必要なものや欲しいものを手に入れるために利用する社会上、経営上のプロセス

 

という言い方をしています。

 

それから、先程ドリルの例を出しましたけれど、それを言っている人はセオドア・レビットといいますが、販売が売り手のニーズと製品を現金に転換する必要性に重点を置くのに対し、マーケティングは買い手のニーズと製造された製品を通じて顧客を満足させる必要性に重点を置く、と言っています。

 

それからピーター・ドラッカーは聞いたことありますか?もしドラという小説の話を聞いたことがあるかもしれません。マネジメントの父と呼ばれている人ですが、その人はこういう言い方をしています。マーケティングの目的はセリング(単純なる販売活動)をなくすことである、と。禅問答みたいでよくわからないと思いますが、色んなマーケティングの定義がある中で、多少時代によって変わってきている部分があります。

 

ここはあくまで一つの例として考えてもらえればいいですが、1980年代前半くらいまではどちらかというと営業発想に近い、顧客に売り込むこと自体をマーケティングと呼んでいた時期もありました。ただそれ以降だんだんマーケティングの定義が変わってきました。ドラッカーが言い始めているのは、顧客について十分に理解をし、顧客に合った製品やサービスを自然に売れるようにする、と。マーケティングは製品なりサービスを買おうと思う顧客を創造するべきである、と言っています。

 

ドラッカーはさらにこういうことを言っています。顧客は企業の基盤であり、顧客が企業を存続させている、顧客のみが雇用を生み出してくれる、と。それからドラッカーという人は、マーケティングとイノベーションは目標設定の基礎となる領域である、要は企業経営にとってこの二つがとても重要である、と言っています。マーケティングとイノベーションは二本の柱くらいのことを言っていると思っていいと思います。それぐらいマーケティングは企業にとって重要なことだということですね。

 

さらっとマーケティングの歴史を俯瞰しておきたいと思いますが、マーケティングとは比較的新しい概念です。主に20世紀に入ってからマーケティングというものが体系化されてきた。

 

最初は1905年。100年以上前ですけれど、ペンシルバニア大学というアメリカのビジネス系でとても有名な大学ですが、そこでマーケティング関係の科目が開講されて徐々に広まっていきました。1935年頃にはマーケティング協会が定義を行うようになってくる。

 

ただ20世紀の前半頃はその程度と言えばその程度で、現代使われているマーケティングに相当するものはあまりまだ発展してきてなかったわけですが、戦後1950年以降、ここから今のマーケティングでも使われている概念、コンセプト、考え方というものが出てきます。ここに書いてあることはまさにこの講義でやっていくことになります。

 

まず1950年頃に製品ライフサイクル、プロダクトライフサイクルと言いますが、この考え方が提唱されました。これが何を意味するかは今後講義でやっていきますのでここでは触れませんが、製品には生まれて成長して死ぬ、というサイクルがあるという考え方です。

 

それから1956年、製品の差別化ということがとても大事な考え方ですが、それから市場の細分化、セグメンテーションと呼ばれているものですが、市場のセグメンテーションという考え方が出てきます。

 

そこからマーケティングというものが徐々に体系化されていくわけですが、1960年、この時に4Pというものが提唱されます。今マーケティングとは何?と言った時に4Pが一番最初に出てくるものの一つ。STPというものと4Pというものは特にマーケティングを勉強したというからには4Pは知っているよね、というそれくらいのベーシックな誰でも知っていなくてはいけないものです。4Pというものはこの後少し触れますけれど、プロダクト、プライス、プレイス、そしてプロモーション、のことを言います。

 

そしてその後重要なのが1991年にブランド・エクイティ戦略というものが出てきます。ブランドというものが、言葉自体は知っていると思いますけど、結局ブランドとは何なの?というときにマーケティングとしてもとても重要な概念として出てきますので、このブランドについても見ていきます。

 

その後マーケティングの定義もいくつか改定されて現代になりますが、最後2010年頃、さっきも言いましたマーケティングの大家であるコトラーという人がマーケティング3.0という概念を提唱します。ということでこの辺りが現代の最新のマーケティングの動向ということになってきます。

 

以上が簡単なマーケティングの歴史になります。以上は比較的概念的なものでちょっと抽象的で分かりづらいものがあると思いますが、次回はマーケティングとは結局どういうものなの?ということを少し見ておきたいと思います。