書評:人工知能の時代に必要とされる資質とは!?

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今回の書籍:「アイデアの作り方」ジェームズ・W・ヤング著、今井茂雄訳、阪急コミュニケーションズ 2005年5月27日初版第51刷

 

以前、「人工知能と経済の未来」の書評の中で、人工知能の時代に求められる3つの資質として「クリエイティビティ」「マネジメント」「ホスピタリティ」が挙げられていることを紹介しました。では、それらの資質を養成するにはどうすれば良いのか?というのが、その次に続く自然な疑問だと思います。そこで今回は「クリエイティビティ」について考えてみたいと思います。

 

「クリエイティブにやれ」という上司、周りにいませんか?

 

でも、そういう上司に限って、それ以上の具体的なやり方は教えてくれません。クリエイティブになる方法なんて、わかれば苦労はしない。そういう人も多いはずです。だからと言ってあきらめてはいけません。芸術家やミュージシャンのような創造性は養えなかったとしても、日頃の仕事に役立つ程度の「アイデアの作り方」であれば、ある程度努力で習得できる。この本はそう教えてくれます。

 

ではそのコツは何なのでしょうか。

 

アメリカ最大の広告代理店の常任顧問やアメリカ広告代理業協会(4A)の会長を務め、広告審議会(AC)の設立者でもあるジェームズ・W・ヤングは2つの原則を提示しています。それは、

 

  1. アイデアとは、「既存の要素の新しい組み合わせ」以外の何物でもないこと
  2. 新しい組み合わせを作りだす才能は、事物の関連性をみつけだす才能によって高められるということ

 

このうち、特に1が重要です。すでにあるものを組み合わせるだけなら、自分にもできそうな気がしてくるからです。そう、完全なオリジナルなんて、この世に存在しないのです。そう考えると気が楽になってきますね。

 

ただし、「事物の関連性をみつけだす才能」が必要です。私は、その才能の磨き方の秘密こそ、藤原和博氏の言う「編集力」にあるのではないかと思います。実際、ジェームズ・W・ヤングが本書で述べている「5段階の心の技術」はインターネット社会における情報収集・編集の過程をよく似ています。その5段階とは

 

  1. 資料を集める
  2. 資料を消化する。資料に手を加える = 1つのことをとことん考え抜く
  3. いったん問題を放棄して、音楽を聴いたり映画に出かけたり、自分の想像力や感情を刺激するようなことを行う
  4. お風呂に入っているときや散歩しているときに、ふとアイデアが浮かんでくる
  5. 現実に合致して実用化されるように、アイデアを具体化する

 

これらの過程をある人は「編集」と呼ぶかもしれません。では編集力はどうやって養うのでしょうか

 

「編集力」―― もう少し掘り下げていきたいと思います。