書評:フリーランスはバラ色か?

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今回の書籍:「フリーエージェント社会の到来」ダニエル・ピンク著、池村千秋訳、ダイヤモンド社 2014年9月1日電子版発行

 

「働き方改革」が謳われ、「フリーランス」や「兼業」「副業」という言葉をあちこちで見かけるようになりました。それはあたかも、新しい時代の新しい働き方であり、ワークライフバランスを含めたある種夢のようなライフスタイルの宣伝のようにも聞こえます。

 

本書に出てくる「フリーエージェント」というのも、どこかしらそういう響きがあります。日本人の多くが「フリーエージェント」という言葉を聞いて真っ先に思い浮かべるのは、プロ野球選手ではないでしょうか。

 

実力がすべての世界で、結果だけを売りにして渡り歩く。成功すれば高収入が約束され、鳴かず飛ばずに終われば第二の人生が待っている。そんなプロスポーツの世界で「フリーエージェント」になれる選手は実績あるほんの一握りでしかありません。「フリーエージェント」権を取得するということは、一種のステータスのように感じられます。

 

本書はその題名が示す通り、多くの人がフリーエージェントとなる社会が来る、というより、すでにその時代が来ていることを宣言しています。2001年本書が最初に出版されたとき、すでに全米の4人に1人がフリーエージェントだったというのです。

 

本当に4人に1人もそんな夢のようなライフスタイルを実現しているのでしょうか。

 

ここでは敢えて、冒頭の書籍に基づいて、フリーランスの課題・特徴について触れてみたいと思います。

 

  1. 収入を確保する責任は「会社」ではなく「自分」に・・・その裏返しとして、自分の時間の使い方を決められます
  2. 終身雇用を前提とした様々な「保障」はなくなります・・・雇用の保障であったり、社会保障であったり、労使交渉であったり、税金であったり、そういったものは自分で保障する必要があります
  3. 会社組織の「タテの忠誠心」や同僚との憩いのひと時など、会社特有の人間関係がなくなります・・・解放感はありますが、ある意味怖いことです。寂しさから逃れたければ、人との新しい結びつき方を会得することが大事です
  4. 仕事とプライベートの時間・空間が融合します・・・「区別がなくなる」とも言えます。人によってはこれが嫌かもしれません。ワーク・ライフ・バランスならぬ、ワーク・ライフ・ブレンドとも言えます

 

いずれも「まだ見ぬ世界」である人にとっては不安かもしれません。しかしながら、本気でフリーランスで生きていくことを考えるのであれば、避けては通れない道でもあります。

 

特に一番の問題は「どうやって収入を確保するか」です。

 

フリーランス支援ということで税務・会計相談やITの話をしているセミナーも見かけますが、それらはあくまで「側面支援」であり、本来まずやるべきことは「収入の確保」だろうと思います。

 

さて、あなたはどうしますか。収入確保の目途が立っていないとすれば、会社を辞める前に、一考した方が良いかもしれません。