第1回:ソニーが作ったライフスタイル

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では時間になりましたので始めていきたいと思います。この講義は顧客ロイヤルティ戦略入門という講義なんですけども、その基本となるマーケティングについて、まずは学んでいきたいと思います。初回ということなので今日はあくまでイントロと言いますか、どういう感じのことをこれからやっていくのかな、という事を簡単にお話したいと思っています。

 

第1回目のテーマは「マーケティング経営 マーケティングとは?」ということで、皆さんマーケティングという言葉はそもそも慣れ親しんでいないという方も多いかもしれませんので、どういうものなのかという感覚を今日の所は掴んでもらえればいいのかな、と思います。

 

早速ですが、最初に少し皆さんに質問をしたいと思います。こういう商品見たことありますよね?何て呼ばれている物ですか?そこに書いてありますけど。これはノートパソコンですけども、どこのメーカーの製品か知っています?

 

学生:ソニー?

 

ソニー。VAIOと言えば、皆さんソニーですか?ではこの製品はソニーの製品だと思う人?ソニーじゃないと思う人も結構いますね。ソニーじゃないと思う人は、どこの製品だと思います?

 

学生:VAIO株式会社。

 

VAIO株式会社。なるほど。皆さんVAIO株式会社って知っています?聞いたことありますか?VAIOというブランドは皆さん知っていますよね?VAIOというのは元々はソニーが作っていたんですよね。それが今どうなっているか。VAIO株式会社と言ってくれた人がいましたけど、それが今どうなっているかって、知っています?こういうことが起こったんですね。3年ほど前ですけども。

 

ソニーがパソコン事業を売却しました。事業の売却と言ってもイメージわかないという人もいるかもしれませんけど、会社も物とかサービスと一緒で、売り買いされることがあるんですね。会社の中の一事業も売り買いされるんですよ。これはまさしくその例なんですけれども、ソニーはVAIOブランドで販売しているパソコンの事業を売却しました。売却先はですね、ここに書いてあるのですが聞いたことあります?同事業は投資会社の日本産業パートナーズ(JIP)に売却して、ソニーは2014年春モデルを最後にパソコンの販売を終了します、と言いました。「パソコン事業の黒字化は困難な状況であり、ソニーの将来を見据えた成長のために決断した。」と。

 

ということでソニーはVAIOの事業を投資会社に売却をしました。日本産業パートナーズという会社ですね。その日本産業パートナーズという会社が2014年7月1日を目途にソニーから独立した事業体として運営する新会社を作ったということなんですね。これがVAIO株式会社ということです。

 

皆さんソニーという会社にどういうイメージを持っているか、人によって違うと思いますけど、一昔前であればソニーがこういう事業を売却すること自体非常に考えにくかったのですね。ウォークマンって知っていますよね?ウォークマンって何が新しかったか知っています?今となってはみんな当たり前にやっていることなんですけれど、ウォークマンって何するための物ですか?ウォークマン使って何します?

 

学生:音楽を持ち運ぶ。

 

そうです。まさにその通りです。音楽を持ち運ぶということが初めてだったのです。みなさん今当たり前にやっています。外で音楽を聴くということを当たり前にやっていますけど、ウォークマンが発売されるまで外で音楽を聴くという発想がなかったんですね。当時はレコードというものがあって、カセットテープもありましたけど、レコードは家で聴く物だったのです。それをソニーはあの小さいカセットテープが入るような物を開発して、音楽を外に持ち出そう、と言い出しました。これは人々の生活を大きく変えたわけですね

 

全く音楽なんて持ち歩いてなかったのです、みんな。でも今ほとんどの人がそういうことをした事があります。みなさんも外で音楽聴いたことあるでしょう?iPhoneとかで。そういう文化をソニーは作りました。それがウォークマンのすごさであり、ウォークマンのマーケティングのすごさもあったわけですよね。ところがそういう伝統を持ったソニーも、困難な時代を経験したということです。

 

それは一体何でなんだろう、というのをこの講義を通じてみなさんに考えていただきたい、ということが一つ、大きなテーマになります。マーケティングは答えなんてないのですが、特に私の方で答えは言いませんが、みなさんなりに考えてほしい、ということです。特に今の時代変化が激しいですからね、こういう時代にどうやって技術を生かしていくか、生かすということはちゃんと生産し続けられるよう、ちゃんと売れるようにしていくことですそれがマーケティングの大きなテーマでもあるわけです