GEといえば、最近は「ソフトウェア開発のアウトソーシングを全面否定する」という話が注目を集めました。製造業の大企業にとって、ソフトウェア開発のアウトソーシングはいわば常識だっただけに、この発言は驚きを呼びました。
それだけでなくGEのイメルトCEOは、すべての社員にプログラミングを学ばせることにしたのです。理由は「可能性のアート」・・・すなわち、全社員がプログラミングによって何が可能なのかを理解できるようにするためです。
そんな人材変動期にあるGEが採用するAI人材は、「ハイブリッド型人材」なのだそうです。例えば物理学の博士号を持っていて、機械学習のアルゴリズムもわかる人。そういう人の方が、GEが取り扱っているエンジンに関する物理学的知識も応用出来て、物理学者と機械学習の研究者に対話させるよりも、超効率的なのだそうです。
博士号という時点で隔世の感はありますが、GEのような重厚な産業に強みを有する企業にとってはリアルな世界のサイエンスとバーチャルな世界のアルゴリズムを融合させること自体が、競争優位につながりそうです。
この発想は冨山和彦氏が近著「AI経営で会社は甦る」で展開している「リアル」と「バーチャル」、「シリアス」と「カジュアル」という考え方と似ています。氏はそこにこそ日本企業のチャンスがあると説いていますが、それはGEと同じ着想かもしれません。
GEの戦略こそ、日本の製造業が採るべき道なのでしょうか。
※写真はイメージであり、本文とは関係ありません。
参考文献
中田敦(2017年6月13日)「ソフト開発のアウトソーシングを全面否定するGE」、 ITPro、2017年7月3日
Elizabeth Woyke (2017年7月3日)「AI企業へ脱皮するGE 鍵はハイブリッド研究者」、MITテクノロジーレビュー、2017年7月3日
冨山和彦「AI経営で会社は甦る」、文藝春秋、2017年3月20日発行
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